早いもので、もう暦の上では春でございます。みなさま、以下がお過ごしでございましょうか。弟のひででございます。
豆まきはきちんとお済みでしょうか。太巻きはきちんと東北東に向かって食べましたか。私は、節分の日に朝起きたらリビングのテーブルの上に太巻きが大量に並んでいて、ちょっとびっくりいたしました。さすが我が母。こういう季節の行事ははずさないですね。
さて今回は、ちょっぴり大人の気分で、冬ももうすぐ終わるよ、もうそこに春が待っているんだよという気分になってしまうCDについて語ってみたいと思います。
■ひで魂のレビュー ♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪
THE BEST OF J-AOR MELLOW
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★なぜAORに「J」がつく?
最近は、国産のものになんでも「J」をつけるのが流行りのようです。この言葉が一般的になったのは、やっぱりサッカーの「J-リーグ」がきっかけですよね。この「J-なんちゃら」という言葉はよっぽどゴロがいいのか、または印象に残る言葉の力を有しているのかは分かりませんが、結構定着していますね。例えば、日本の歌謡曲やポップスを表すのに使う「J-ポップ」という言葉はすっかりおなじみです。でも、国産牛肉を表すのに「J-ビーフ」とか、国産鶏肉をと表すのに「J-チキン」とか、定着しなかった言葉もありますけどね。
この「J-ポップ」という言葉が定着してから、日本の歌謡曲・ポップス業界がリスナーに与えた影響は結構大きいようです。一言で言えば、おしゃれ度がアップしたということでしょうか。「J-ポップ」という言葉が定着してからの歌謡曲・ポップス業界は、「ああ、日本の音楽も洋楽に負けてないぞ」という意識が一層高まったのです。確かにちょっと昔は、洋楽を聴いているような洒落た兄ちゃんが、例えばピンク・レディーとエリック・クラプトンのアルバムを一緒に買うなんてことは、とても恥ずかしくてできませんでしたが、現在だったら松浦亜弥とエアロスミスのアルバムを同時に買うことは、ほとんどの人が楽勝だと思います。これは、「J-ポップ」という言葉の定着のおかげではないでしょうか。
もちろん日本にも、音楽の中身は洋楽に負けていないものはそれまでもたくさんありましたが、そのことがリスナーに浸透するためにはやはり「J-ポップ」という言葉の登場が必要だったのです。言葉の力は偉大ですね。
こうして歌謡曲・ポップスのステータスアップを見事に果たした「J」という言葉の力を日本の音楽業界が見逃すわけがなく、既存の音楽ジャンルに「J」をつけて、再び売り出しにかかっているのは皆様ご存知の通りです。「J-ジャズ」「J-フュージョン」「J-クラシック」「J−ヒップホップ」などなど。ここらへんまではまあ許せますけどね。とりあえず、「J-シャンソン」とか「J-カンツォーネ」とか「J-ラテン音楽」とかわけの分からないものは登場しなかったみたいで、非常によかったと思っていますけど。
ただ、今回ご紹介しているアルバムについている「J-AOR」っていうのには、結構驚かされましたけれどね。ちょっとだけ、ひっくり返りそうになりました。
★AORとは?
AORとは、「Adult Oriented Rock(アダルト・オリエンテッド・ロック)」の頭文字をとったもの。若い頃ギンギンのロックンロールに夢中になっていて、ドラッグをキメていたようなお兄さんお姉さんたちが、「いつまでもブイブイいわせるわけにも行かないし、ちょっと落ち着いた音楽が聴きたいよ」ということで1960年代後半から70年代初頭にかけて登場しだしたジャンルです。日本でも当時は学生運動が盛んになっていた時期でしたが、「落ち着きたいよ」と思っていた若者は結構多かったはずです。アメリカで誕生したこのジャンルは、日本のリスナーの心を捕らえたのも無理はないと思います。
サウンド的には16ビートを主体として、都会的なセンチメンタリズムを歌にするという、落ち着いた大人のための都会派ロック。フュージョンのサウンドに大甘な恋愛を歌うという、聴くものを「おっしゃれー」な気分にさせるものでした。
ボズ・スキャッグスの『シルク・ディグリーズ』やマイケル・フランクスの『スリーピング・ジプシー』などが名盤と言われているものです。このAORが音楽業界のもたらした影響は、次のようなものがあります。
1.アルバムが売れるようになった
今までシングル中心だったレコードの売り上げが、アルバム中心に変わっていきました。これは、リスナーが社会に出たての大人で、お金を持っていたということがものすごく影響しています。アメリカで、アルバムが100万枚単位のヒットを飛ばすようになったのはこの頃からです。
2.スタジオミュージシャンが注目されだした
基本的にAORは、ロックを元にしながらも、ジャズ・ファンク・ボサノバなどのさまざまな音楽の融合ですから、演奏者にとても高度なテクニックが要求されます。アルバムに参加するミュージシャン達に、ジャズ・フュージョン系の有名どころが起用されたのは当然と言えるでしょう。このアルバムのアレンジは誰、ギターは誰、ドラムは誰、というようなミュージシャンのクレジットを見てアルバムを購入するようなマニアが現れたのもこのころです。そう、私みたいな人種の方たちですね。ラリー・カールトンやスティーブ・ガッドといった人たちを、一般の音楽ファンに知らしめたのは、AORのおかげなのです。
ちなみに、「Adult Oriented Rock」と呼んでいるのは日本だけで、アメリカでは「Album
Oriented Rock(アルバム・オリエンテッド・ロック)」と呼ばれています。アルバム中心に売るロック
という表記なんでしょうか。略称は
どっちも変わらないんですけどね。
★このアルバムの聴きどころは
このアルバムは、最近巷に溢れている、コンピレーションとか、オムニバスとか言われているもの。世間にはこの手のアルバムが溢れかえっていて、正直食傷気味ですよね。しかし、最近はレコード会社も企画に頭をひねっているようで、以前の「ただ○○年代のヒット曲を並べてみました」みたいな企画から、テーマを持ったものにシフトしているようです。化粧品のCMソングを集めた『Rouge-COSMETIC CM SONG COLLECTION』や、飲料水のCMソングを集めた『ドリンク!!』なんかは、結構面白いと思います。
そして、この『THE BEST OF J-AOR MELLOW』は、GREAT3のフロントマン片寄明人の選曲によるもの。その選曲は非常に濃いです。70年代から90年代までの幅広い選曲。片寄氏のこだわりっぷりが非常に強く
表われています。寺尾聰とオリジナル・ラブがいっぺんに聴けるアルバムなんて、他にありません。片寄氏曰く、AORはリズムやサウンドではなく、メロディの美しさだと。おっしゃる通り、この2枚組のアルバムには珠玉のメロディの曲ばかりでございます。
そして、このアルバムは流れというか雰囲気の作り方がものすごくすばらしい。DISK1の最初の5曲で私の心はわしづかみにされました。また、コンピレーションにありがちな年代順に並んでいるわけでもなく、例えば片寄氏自身の曲『MADONNA
49』(2000年発表)と伊藤銀次の『こぬか雨』(1977年発表)との間には、23年もの隔たりがあるのですが、全然そんなことを感じさせません。流れがなんとも自然なんですね。各ディスクの締めに吉田美奈子、高橋幸宏を持ってくるあたり、偉大な先駆者への敬意を払っている様子も垣間見えて、非常に好感が持てます。
また、このアルバムに収録されているアーティストの3分の2以上は「名前は聞いたことがあるけど、きちんとチェックしていなかった」という人たちでした。今回初めて聴いてみて、その素晴らしさに思わずうなってしまうことが多々ございました。
ただ残念なのは、ミュージシャンのクレジットが表記されていないこと。AORというジャンルは、先にも述べた通り、ミュージシャンを楽しみに聴くという側面も持っている音楽ですから、ここらへんはこだわって欲しかった気がします。
コンピレーションながら、非常に選曲者のこだわり、アーティスト性が色濃く感じられるという、なんとも不思議なこのアルバム。みなさまもぜひ聴いてみてくださいませ。きっと、リッチで優しい気持ちになれることは、間違いございませんことよ。
【DISC1】
01.SHADOW CITY / 寺尾聰
作詞/有川正沙子 作曲/寺尾聰 編曲/井上鑑
02.都会 / 大貫妙子
作詞/作曲/大貫妙子 編曲/坂本龍一
03.Still I Love You / 安部恭弘
作詞/松本隆 作曲/安部恭弘 編曲/難波弘之
04.誰より好きなのに / 古内東子
作詞/作曲/古内東子 編曲/小林秀行
05.接吻 / オリジナル・ラブ
作詞/作曲/田島貴男 編曲/オリジナル・ラブ
06.夜風のインフォメーション / 濱田金吾
作詞/小林和子 作曲/濱田金吾 編曲/松下誠
07.Candy 具島直子
作詞/作曲/具島直子 編曲/キリガヤBobbyトシヒロ
08.エイリアンズ / キリンジ
作詞/作曲/堀込泰行 編曲/冨田恵一、キリンジ
09.MADONNA 49 / 片寄明人
作詞/作曲/片寄明人 編曲/JOHN McENTINE
10.こぬか雨 / 伊藤銀次
作詞/作曲/編曲/伊藤銀次
11.My Spinning Wheel / DOOPEES
作詞/SUZI KIM 作曲/編曲/YANN TOMITA
12.SAY GOODBYE / 佐藤博
作詞/LORRAIN FEATHER 作曲/編曲/佐藤博
13.朝のドライブ / EPO
作詞/作曲/EPO 編曲/清水信之
14.スタジオ・ミュージシャン / ムーンライダーズ
作詞/鈴木博文 作曲/岡田徹 編曲/ムーンライダーズ
15.頬に夜の灯 / 吉田美奈子
作詞/作曲/吉田美奈子 編曲/吉田美奈子、L-LEON PERDARVIS
【DISC2】
01.ONO / GREAT3
作詞/作曲/編曲/GREAT3
02.December Song / 加藤和彦
作詞/安井かずみ 作曲/編曲/加藤和彦
03.Best Drop / SPIRITUAL VIBES
作詞/野中紀公子 作曲/編曲/竹村延和、
04.Diary / 佐橋佳幸
作詞/福島浩 作曲/編曲/佐橋佳幸
05.ベステン ダンク / 高野寛
作詞/作曲/編曲/高野寛
06.FLYING SANTA CLAUS / 村田和人
作詞/田口俊 作曲/村田和人 編曲/幾見雅博
07.Be Yourself / LOGIC SYSTEM
作詞/作曲/NATHAN EAST 編曲/石田勝範
08.My Eye's On You / SING LIKE TALKING
作詞/作曲/藤田千草、佐藤竹善 編曲/SING LIKE TALKING
09.FOOLS / EL-MALO
作詞/柚木隆一郎 作曲/編曲/柚木隆一郎、會田茂一
10.新しい風 / 岩下清香
作詞/福士久美子 作曲/片寄明人、堀江博久 編曲/井上富雄
11.一人のままで - There's No Shoulder - / 稲垣潤一
作詞/湯川れい子 作曲/松尾一彦 編曲/井上鑑
12.摩天楼ブルース /山本達彦
作詞/杉山政美 作曲/山本達彦 編曲/NOBODY
13.テールライト / 桐ヶ谷仁
作詞/作曲/桐ヶ谷仁 編曲/松任谷正隆
14.Fascination / 門あさ美
作詞/岡田冨美子 作曲/門あさ美 編曲/戸塚修
15.Reach Out / 彩恵津子
作詞/ちあき哲也 作曲/織田哲朗 編曲/太田和夫
16.Saravah! / 高橋幸宏
作詞/作曲/高橋ユキヒロ 編曲/高橋幸宏、坂本龍一
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■今週の間違い大杉
ひでがお送りする、前回お気楽89号の素の間違いを自ら告白し、白日の元にさらけ出してしまうのがこのコーナーでございます。
なんと今週は正解者がたったお一人でございました。私が前回予言した通り、お気楽89号なだけに、まさに四苦八苦(はっく=89)号になってしまいたね。こちらの素の間違いというよりも、読者の方がNGワードを探すのに四苦八苦してしまったようですが・・・。
今回はお気楽90号。非常にキリのいい数字でございます。100号も射程圏内に入ってまいりました。読者のみなさま。初心に返るいい機会でございます。どういうものが素の間違いとなるのか、ここで傾向をバッチリつかんでくださいませ。
それでは、今週も、お気楽の間抜けっぷりをお楽しみくださいませ。
>チェックマークを入れていください。
素の間違いは「入れていください」。正しくは、「入れてください」でございます。
最近本当に多くていやになっちゃいますよね、ウィルスが。パソコン講座では、緊急のウィルス特集を組んだため、浩子先生もあわててしまっているのがよく分かる素の間違いだと思いませんか。
>ウィルス定義ファイルを最新のものします。
素の間違いは「ものします」。正しくは「ものにします」でございます。
ほら、やっぱりあわてているんだ。これじゃあ「ものす」ことになってしまいますね。「ものす」は古典単語で、「ある動作を漠然とする」という意味。ただし、ここでは「ものす」ことはいけません。ウィルス対策なのですから、漠然とではなく、しっかりとやらなくてはいけませんよね。
>その分データ処理のスピードが早いので、
素の間違いは「早い」。正しくは「速い」でございます。
スピードのことについて述べているわけですから、ここは当然「速い」を使うべきですね。私もこの漢字を習いたての頃は、どっちを使うのか結構悩んだ記憶があります。そりゃあ、右も左も分からない、方向感覚ゼロの高橋家の一員ですもの。感じを間違えたりすることもございましょう。
>と、いう自分の原稿を読んでいて、
素の間違いは「と、いう」。正しくは「という」でございます。
変なところに「、」を打ってしまいました。それだけです。
>文字にするものおこがましいほど
素の間違いは「文字にするもの」。正しくは「文字にするのも」でございます。
社長らしいことは何一つしていないという恥ずかしさを「文字にするもの!」という決意と、「でもやっぱりおこがましいもの」という恥の感情がブレンドして、心の中で葛藤を繰り広げている様子が、ありありと分かる素の間違いでございます。
>芸能人やお相撲さんに投げてもらったマメをゲットした方ば、
素の間違いは「ゲットした方ば」。正しくは「ゲットした方は」でございます。
マメがのどにでもつかえたんでしょうか。ゲフンゲフンと咳き込みそうな素の間違いでございました。
>かつては「しぶがき隊」だったんですよねぇ
素の間違いは「しぶがき隊」。正しくは「シブがき隊」でございます。
やっぱり固有名詞ですから、カナの表記もきちんとせねばなりますまい。そういえば、シブがき隊のバックバンドは、「シブ楽器隊」っていうんでしたねえ。彼らは今、一体どこで何をしているのでしょうか。ちょっとだけ気になりますね。
今週は以上でございます。
それでは、今週も謝ってしまいます。
どうも申し訳ございませんでした。
みなさま、お気楽89号もお楽しみいただけたでしょうか。
今週もこのような素の間違いがいたるところの転がっているとは思いますが、こんなものなんかに負けないで、NGワードをバリバリと探してくださいませ。
ということで今週も、あなたのNGワードへのご応募、心からお待ち申し上げておりますね。
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最後まで読んでいただいてありがとうござります。
今週もステキな1週間をお過ごしくださいませ(^o^)丿
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