当時、まだTVゲームなど無い頃。
遊ぶのは、ほとんど「外」であった。
台風が近づいているらしく、まだ雨は降ってないものの風がいつもより強く感じるのは
教室のベランダからでも確認できた。
ふと、楽しい遊びを思いつき
「よーし、挑戦すっか!」と独り言をつぶやいていると・・
隣の席の みなしごハッチに似ているA君が、「何すんの?」としきりにきくので
「ゲイラカイト」の高さに挑戦するんだよ と・・
そしたら、A君もやるらしく 場所(堤防)を確認してきた。
強風+ゲイラカイト! さぁ、どのくらい上がるかぁ!
ゲイラカイトを組み立て、ちょっとかざしただけで すごい勢いで30mぐらい上空へと
急上昇していった!
「こ、これは、やばい!」
ものずごい引きである!手に糸が食い込み
まるで、カジキマグロとの格闘のようで身体が持っていかれる。
もう、必死で糸をたぐりよせ回収することにした。へたすると糸切れるかも?
「制御不能!」「制御不能!」の警告が頭の中に鳴り響く!
そんな、過酷な状況下に みなしごハッチ「A君」おくれて登場!!
ボクもボクも と、カイトを組み立て始めた
「やめとけ」と言うより早く 急上昇!
がたいの小さな みなしごハッチ「A君」、何の抵抗もできず、リリース・・
「ぼ〜うや良い子だ ねんねしなぁ〜」の昇り龍のごとく 天に消えていった・・
夕飯時、外の雷鳴をかき消すほど お袋にこっぴどく怒られる。
何やら、小野珍から(台風なのに)むりやり誘われてカイト無くしたと 親に報告したらしい・・
お、おのれ!「みなしごハッチ!」
親と先生にだけは告げ口してはダメだ!と少年法に書いてあるだろ!(えっ??)
翌日、台風も本格的に雨風で教室の窓をたたく。
「今日、グランドでサッカーやろうかなー」
「あのペレも雨の日 練習したから上手くなったんだよなー」
と、「みなしごハッチ」に聞こえるよーに言ってやった。
翌日
A君、風邪でお休み・・ |